来週17日よりi-tunesでダウンロードが開始されるみたいです。
ビートルズ・ファンはおっさん、特に日本では「物」として手許に持っておきたい人が多いでしょうから、配信だけじゃなくてCDとしても販売して欲しいのですが。
「アップル」との商標権の絡みもあってデジタル配信には最後の最後まで参加しなかったビートルズですが、こういう配信のみというものをビートルズ(アップル・コ)がやりだすと音楽業界のCDから配信への流れは更に加速しそうですね。いやな時代です。
1. “There's A Place” - Takes 5, 6. 2:19
2. “There's A Place” - Take 8. 1:58
3. “There's A Place” - Take 9. 2:04
4. “Do You Want To Known A Secret” - Track 2, Take 7. 2:17
5. “A Taste Of Honey” - Track 2, Take 6. 2:12
6. “I Saw Her Standing There” - Take 2. 3:07
7. “Misery” - Take 1. 1:54
8. “Misery” - Take 7. 1:56
9. “From Me To You” - Take 1 & 2. 3:24
10. “From Me To You” - Take 5. 2:17
11. “Thank You Girl” - Take 1. 2:09
12. “Thank You Girl” - Take 5. 2:04
13. “One After 909” - Take 1 & 2. 4:29
14. “Hold Me Tight” - Take 21. 2:42
15. “Money (That's What I Want)” - RM 7 Undubbed 2:48
16. “Some Other Guy” - Live At BBC For "Saturday Club" / 26th January, 1963. 2:02.
17. “Love Me Do” - Live At BBC For "Saturday Club" / 26th January, 1963. 2:31
18. “Too Much Monkey Business” - Live At BBC For "Saturday Club" / 16th March, 1963 1:50
19. “I Saw Her Standing There” - Live At BBC For "Saturday Club" / 16th March, 1963. 2:38.
20. “Do You Want To Know A Secret” - Live At BBC For "Saturday Club" / 25th May, 1963 1:50
21. “From Me To You” - Live At BBC For "Saturday Club" / 26th May, 1963. 1:54
22. “I Got To Find My Baby” - Live At BBC For "Saturday Club" / 26th January, 1963 1:59.
23. “Roll Over Beethoven” - Live At BBC For "Saturday Club" / 29th June, 1963 2:29
24. “A Taste Of Honey” - Live At BBC For "Easy Beat" / 23rd June, 1963 2:01
25. “Love Me Do” - Live At BBC For "Easy Beat" / 20th October, 1963 2:29
26. “Please Please Me” - Live At BBC For "Easy Beat" / 20th October, 1963 2:08
27. “She Loves You” - Live At BBC For "Easy Beat" / 20th October, 1963 2:29
28. “I Want To Hold Your Hand” - Live At BBC For "Saturday Club" / 21st December, 1963 2:19
29. “Till There Was You” - Live At BBC For "Saturday Club" / 21st December, 1963 2:16
30. “Roll Over Beethoveen” - Live At BBC For "Saturday Club" / 21st December, 1963 2:16
31. “You Really Got A Hold On Me” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 4th June, 1963 2:54
32. “The Hippy Hippy Shake” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 4th June, 1963 1:43
33. “Till There Was You” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" /11th June, 1963 2:14
34. “A Shot Of Rhythm And Blues” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 18th June, 1963 2:06
35. “A Taste Of Honey” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 18th June, 1963 1:56
36. “Money (That's What I Want)” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 18th June, 1963 2:41
37. “Anna” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 25th June, 1963 3:02
38. “Love Me Do” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 10th September, 1963 2:29
39. “She Loves You” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 24th September, 1963 2:16
40. “I'll Get You” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 10th September, 1963 2:05
41. “A Taste Of Honey” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 10th September, 1963 2:00
42. “Boys” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 17th September, 1963 2:12
43. “Chains” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 17th September, 1963 2:22
44. “You Really Got A Hold On Me” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 17th September, 1963
2:57
45. “I Saw Her Standing There” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 24th September, 1963 2:41
46. “She Loves You” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 10th September, 1963 2:15
47. “Twist And Shout” - Live At BBC For "Pop Go The Beatles" / 24th September, 1963 2:36
48. “Do You Want To Know A Secret” - Live At BBC For "Here We Go" / 12th March, 1963 1:55
49. “Please Please Me” - Live At BBC For "Here We Go" / 12th March, 1963 1:57
50. “Long Tall Sally” - Live At BBC For "Side By Side" / 13th May, 1963 1:49
51. “Chains” - Live At BBC For "Side By Side" / 13th May, 1963 2:23
52. “Boys” - Live At BBC For "Side By Side" / 13th May, 1963 1:53
53. “A Taste Of Honey” - Live At BBC For "Side By Side" / 13th May, 1963 2:04
54. “Roll Over Beethoven” - Live At BBC For "From Us To You" / 26th December, 1963 2:17
55. “All My Loving” - Live At BBC For "From Us To You" / 26th December, 1963 2:06
56. “She Loves You” - Live At BBC For "From Us To You" / 26th December, 1963 2:21
57. “Till There Was You” - Live At BBC For "From Us To You" / 26th December, 1963 2:12
58. “Bad To Me” - Demo 1:29
59. “I'm In Love” - Demo 1:32
PS.
ビリーJクレイマー&ザ・ダコタスのヒットで有名ですがビートルズはオリジナルのチャン・ロメオのバージョンをカバーしたようです。
Chan Romero - Hippy Hippy Shake
最後に入っているデモ2曲は公式音源化は初めてでしたっけ。
Billy J Kramer & The Dakotas - Bad To Me
I'm in love - Fourmost
The Beatles Bootleg Recordings 1963
ぼくはいつも 夢を胸にいだいて 疲れている
かしぶち哲郎さんが逝ってしまった。僕が日本で一番好きなバンドであるム-ンライダーズのドラマー。ムーンライダーズというバンドの凄さのひとつとしてメンバー全員が演奏だけでなくボーカルをとり、作詞、作曲、アレンジ、プロデュースをこなす。それはバンド内にとどまらず他の歌手への楽曲提供、アレンジ、プロデュースそして演奏への参加と、よくマルチ・ミュージシャンとかマルチ・プレイヤーという呼び方をされる人がいるが、ムーンライダーズはメンバー全員がマルチ・ミュージシャンという稀有のバンドでした。
かしぶち哲郎も慶一、博文の鈴木兄弟につぐ第三の作家として心に残る楽曲を生んでいます。女性ファンの方からは顰蹙買いそうですが、僕がかしぶちさんでまず思い出すのはこの歌。
MOONRIDERS/S・E・X
肌色 きれいな肌色
嫌いだ お前のビサージュ
どうして そんなに
化粧 濃くしているの
ぼくの愛情が しみていかない
よく冷えた ホテルのフルーツ
甘くて 裸にした
どうして そんなに
窮屈な 下着つけるの
ぼくの思惑が それてしまうよ
いい感じ 極限
この感じ
指 膝 腰 Hmm 乳房 肩 背中
Once More じっとして・・・・・・・・
どうして いらないの
ホットで 辛いリキュール
僕の愛情は うすれていない
いい感じ 極限
この感じ みだらな
いい感じ 極限
この感じ みだらな
84年のアルバム『AMATEUR ACADEMY』収録で、(矢野)アッコちゃん曰く「イヤラシイ路線」を象徴する一曲です。タイトルもそのものズバリの「S・E・X」なのですが中黒が間に入っていることからも分かるかもしれませんが、原題はSensuous EXperienceの頭文字取りとなっています。まぁSensuous EXperienceでも官能的経験となるので五十歩百歩の「イヤラシイ路線」ではありますが。
ムーンライダーズは鈴木慶一とムーンライダーズ名義のデビュー・アルバム『火の玉ボーイズ』で早くも「午後のレディ」という「イヤラシイ路線」の曲を忍ばせていましたが、2ndの『MOON RIDERS』では”きみのこと ちょっとだけしゃぶるなら ぼくのポケットは(ライヴではズボン)は 破裂しそうさ””おいしいバナナ ぼくとふたりで食べよう いつまでも 子供じゃいたくないでしょ”という当時高校生だった僕は赤面してしまった、比喩とも言えないような比喩で歌われる「マスカット・ココナッツ・バナナ・メロン」という完成形を提示します。ライヴでは会場にいる可愛い子を狙ってステージにひっぱりあげ”マスカット・ココナッツ・バナナ・メロン”というコーラスを歌わせるという、まな板ショーまがいのことまでやってしまうという徹底ぶりでした。
マスカットココナツバナナメロン moon riders
「午後のレディ」も「マスカット・ココナッツ・バナナ・メロン」も鈴木慶一作品で当初「イヤラシイ路線」は慶一さんの独壇場でそこに博文さんの「シャイ路線」とかしぶちさんの「純愛路線」がブレンドされるというのがライダーズのラヴ・ソングでしたが、79年の『MODERN MUSIC』の「バーレスク」あたりから、かしぶちさんの下克上が始まります。
リラのホテルコンサート 「バーレスク」 かしぶち哲郎
恋とは少しのミスも 見逃してはくれない
目を覚ませば ベッドはからっぽ
私たちの遊び 危険がいっぱい
いつもフェアな バーレスク
黄昏のハイツの中 恋する女たち
寂しさで 身悶えるだけ
私たちの遊び はかなく続く
汗をぬぐって バーレスク
愛なんて どこにあるのかな
恋しても いつかつらくなる
何ども傷つきながら 求め合うふたり
言葉よりキッスが好き
私たちの遊び 夜があけるまで
いつもハードな バーレスク
悲しみは いつもひとりぼっち
恋しても いつかつらくなる
枯葉の季節に戻り 苛立つ恋心
最後の夜は 思い出だけ残る
私たちの遊び 終わりがない
涙ぬぐって バーレスク
最後の”涙ぬぐって バーレスク”のあたりに「純愛」をひきずっていますが、この時点ではかしぶちさんもまだ20代後半とまだ”DON'T TRUST OVER THIRTY"世代としてのイノセントさがあったということか。そんなかしぶちさんも30歳を超えると一気に「イヤラシイ路線」へと突き進み「S・E・X」、「さなぎ」、「Frou Frou」といった傑作(?)をものにします。
さて、話が変わるように思われるかもしれませんが、僕のような50過ぎのオールド・ロック・ファンや若くてもコアなロック・ファンの中には頑なにセックス・ドラッグ&ロックンロールこそがロックのあるべき姿だする人が多いように思われます。ムーンライダーズの前身であるはちみつぱいがデビューした70年の日本は「セックス・ドラッグ&ロックンロール」という価値観が支配していた時代で、はちみつぱいもグレイトフル・デッドの「ダークスター」のようなヘッド・ミュージックをカバーしたりと、その例外ではなかったといえます。
ただ、はちみつぱい/ムーンライダーズの場合好奇心がとにかく旺盛だからなのか、ひとつの音楽スタイルにとどまらず、アルバムごとにコンセプトを変えファンの期待をいい意味で裏切り続けます。まるで自分たちのイメージが固定化されるのを嫌うかのように。そうした裏切りの中でも最も見事だったのが『DON'T TRUST OVER THIRTY』という86年アルバムでした。DON'T TRUST (ANYONE) OVER THIRTY(30歳以上は誰も信じるな)という言葉は「セックス・ドラッグ&ロックンロール」と並ぶテーゼだったのですが、このテーゼをタイトルにしたアルバムを発表したライダーズの平均年齢は30代半ばという一見すると矛盾するように思えるものでした。
ただしそれは若者たちが主語で”30歳以上の(汚らしい)大人の価値観は信じるな”と拳をつきあげている言葉だと思うから矛盾するのであって、30を超えた男たちが若い世代に向かって”大人を信じるなよ、ばーか”と言っていると思えば納得もできるんじゃないでしょうか。固定化されたイメージの破壊、僕はこういった所にライダーズの「ロック」を感じます。
その意味では、メンバーの中でいちばんええとこの坊ちゃんっぽいというか、紳士然とした雰囲気をかもし出すたたずまいのかしぶちさんの「イヤラシイ路線」への暴走というのも、すごくライダーズ的なことに思えます。
昔は無かった言葉ではありますが、ライダーズのメンバーのイメージってリョーメイさんを除いてみんな「草食系」のイメージに思えます。「肉食系」で「イヤラシイ」のや「草食系」で「イヤラシクナイ」のは普通だし「肉食系」で「イヤラシクナイ」のは期待ハズレです。最も意外性があって泥沼になりそうなのが「草食系」で「イヤラシイ」、そう、かしぶち哲郎のような男なんじゃないのかな。こういうことに30代で気づいていれば、僕も「イヤラシイ」ことができたかも・・・・(笑)。
なんか「イヤラシイ」「イヤラシイ」と書きすぎてしまいましたが、かしぶちさんの本当の魅力というのはアッコちゃんの言葉を借りると
>男でいることの苦しさを深く抱いていながらも、けっしてめめしくならないところがあり、そこが女の私にはたまらない魅力となっている。これが男性の場合なら、より深いシンパシーを抱くのではないだろうか。
「異議なし」ですね。
そんな作品としてアッコちゃんは「砂丘」をあげていますが、僕は慶一さんのボーカルではありますが「D/P」なんていうのもいいなぁと思います。
Moonriders - D/P
時すでに 夢消え失せ 天使たちは 水辺で遊ぶ
今 想う 貴方への愛 優しさなど 偽りだった
夏の傷 腕につけた 遠い夢の日々よ
そして ぼくは青いシャツ選んで
そして 貴方は花のようにうつろに また旅に 戻る
時すでに 恋の末路 悲しみさえ 消し忘れて
今 想う 貴方への愛 偽りこそ 悪魔の微笑
月の光 肌を染めた 遠い日の夢よ
そして ぼくは街にダム作って
そして 貴方は夜のパール身につけ また旅に 戻る
空の彼方で追憶と口づけ めぐり逢いの楽園さまよい
そして ぼくは街にダム作って
そして 貴方は夜のパール身につけ また旅に 戻る
砂丘 ムーンライダース
どうしたの
いや
何でもないさ
ぼくはいつも
砂を握りしめて
倒れている
日は昇り
夢は滅ぶ
遠くの空の果て
虚弱な大地は
今も報われない
素敵だね
素敵だな
ぼくはいつも
夢を胸にいだいて
疲れている
アッコちゃんによるカバーもどうぞ。
砂丘 矢野顕子+ムーンライダーズ
来年はブラジル・ワールド・カップということでコルコバードの丘のキリスト像をTVなどで目にすることも多くなるでしょうが、その度にミルトン・ナシメントの曲にかしぶちさんが日本語詞をつけたこの曲を思い出すんだろうなぁ。
トラベシア ムーンライダース
遥か 遠い国の夢は 幻か
憧れ 曳きつれて 船出する
塩の満ちた 海に長い橋をかけたら
もうすぐ コルコバード 辿りつける
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・R.I.P.
PS.
「マスカット・ココナッツ・バナナ・メロン」 は当初不二家のメロディ・チョコのCMとして作られたと記憶しています(→拙ブログ記事「マスカット・ココナッツ・バナナ・メロン」)。CMではほとんどコーラス部分だけだったように記憶します。恐らくは後から補作して完成形となったのでしょうが、不二家の関係者が聴いたら大激怒だったんじゃないでしょうか。ほんと食えないやつらです、ムーンライダーズって。
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過去のデータで未来の事がわかりますか
【矢沢永吉】イー・モバイル CM「ヤザワ総理 国会答弁」篇
このCMが流れるたびに矢沢の「過去のデータで未来の事がわかりますか」という答弁に、「分かるんちゃうん」と突っ込んでしまいます。
「データに関係なく、うちはお客さんのために安うしまっせ」といいたいんだとは思いますが、参照するにせよ無視するにせよデータというの未来を推し量るためにあるものだし、逆に言えば未来を推し量る目的でデータってのは作られるわけだから矢沢の答弁はおかしい。
まぁ、矢沢が好きじゃないというだけなんですけど・・・
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I WISH YOU A MERRY LITTLE CHRISTMAS!
白い神が生まれ
黒い神が死んだ日
I WISH YOU A MERRY LITTLE CHRISTMAS!
午年へのカウントダウン 馬の歌 その1
植木等 「スーダラ節」
えっなぜに「スーダラ」が馬の歌?と思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、2番の歌詞は競馬でスッカラカンになるスーダラな男の歌というわけで、こりゃまた失礼いたしました。
この歳にして、この歌力。破壊力。日本最強の歌手でした。
「スーダラ節」で検索していたらこんなん出てきました。こういう日本企画はいいかげんやめてくれと書きたかったんですが、なんか耳に残るというかくせになってしまいます。スーイスーイ スーダララッタのとこの発音がスバラスィ。
クレモンティーヌ / スーダラ節
クレモンティーヌ以上にワロタのがコレ。マイケルの「スリラー」のあの有名なMVに「スーダラ節」をのっけただけなのですが、微妙にというかいいタイミングでシンクロする瞬間があって吹き出してしまいます。埋め込めないのでリンク貼っときます、わろうてください。
⇒マイケル・ジャクソン スーダラ節
午年へのカウントダウン 馬の歌 その2
山本コータロー/走れコータロー
エーこのたび、どのように原発を廃止するかという問題につきまして・・・って
コータローさんも脱原発派だったんですね。
元歌のソルティーシュガーがレコ大に出た時のやつで。
ソルティシュガー/走れコータロー
あらためて見ると山本コータローが歌ってたと思っていたのですがメンバーみんなで歌っていてコータローもその一人という立場だったんですね。
山本コータローのもう一曲のヒット・ソング「岬めぐり」。たしか中3の時の音楽会でクラス全員で歌ったのですが、嫌だったなぁ。
山本コータロー/岬めぐり
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午年へのカウントダウン 馬の歌 その3
さて来年の干支の馬の歌っていうよりは馬絡みの歌の3曲目はこの歌。
麻丘めぐみ 「アルプスの少女」-
本当はTV出演時の映像をアップしたかったのですが埋め込みできるやつが無かったのでリンクを貼っておきますので時間があればごらん下さい。
⇒麻丘めぐみ アルプスの少女 1973
⇒麻丘めぐみ 『アルプスの少女』 第2弾 1973
いやぁ可愛いですね、4歳上のお姉さんなのですが僕にとっての元祖アイドルは麻丘めぐみです。「ダンシング・セブンティーン」や「ブルーライト・ヨコハマ」など歌謡曲に洋楽をブレンドした歌謡ポップス(元祖J-POP?)の作曲家として筒美京平さんの名前を知ったのも麻丘めぐみの一連の作品からでした。「わたしの彼は左きき」は「年下の男の子」と並びアイドル歌謡で3本の指に入る作品と思います。もう1本は「恋するフォーチュンクッキー」でしょうか(笑)。
これまた、どこが「馬」やねんといわれそうですが、Cメロの部分で”お昼になったら 馬車が来る馬車が来る 私と話しに 彼が来る”と「馬車」がでてくるということでの馬絡み。
「馬車」といえば最初こちらを思い出したのですが、なんか違った方向に行きそうだったので・・・
Stagecoach Theme
午年へのカウントダウン 馬の歌 その4
うーん、いいジャケですね。リー・ドーシーのポーズとタイトル文字のバランスが絶妙です。ということで「午年の歌」第4弾は「ライド・ユア・ポニー」です。ちなみにPonyとは背丈が通例4.8フィート(146cm)以下の小形種の馬の総称ということです。
Lee Dorsey - Ride Your Pony
お前のポニーにまたがりな
お前のポニーに乗っかって またがるんだ
オーライ
お前のポニーにまたがりな
お前のポニーに乗っかって またがるんだ
あぁ しっかり またがれば
思いがままさ
(またがろうぜ)
西へ向かうんだ
ハッパが緑のとこさ(またがれ)
カリフォルニア、 意味はお分かりだよね
(またがれ) ニューヨーク
デトロイトもね (またがれ)
もちろん ニューオリンズも
ブルースの故郷さ
お前のポニーにまたがりな
お前のポニーに乗っかって またがるんだ
オーライ
お前のポニーにまたがりな
お前のポニーに乗っかって またがるんだ
あぁ しっかり またがれば
思いがままさ
思いがまま
(お前のピストルを抜くんだ)
用意はいいか さぁぶっぱなせ
ぶっぱなせ ぶっぱなせ
1965年、アラン・トゥーサンが作曲と制作を担当し、演奏はミーターズという当時のニュー・オリンズ最高のメンツが集合したナンバーです。仔馬に乗る歌になっていますが、これはもちろんダブル・ミーニングで性愛の歌と見ていいんじゃないでしょうか。
そのへん、オリジナル・トリニダード・スティール・バンドのカバーでのボーカリストやコーラス・ダンサーたちの腰の動きが非常に直截的に表現していると思うのですが、いかがなものでしょう。エド・サリバン・ショーであれば確実に上半身しか映されないですね。
THE ORIGINAL TRINIDAD STEEL BAND-RIDE YOUR PONY
おっと、話題が下の方にイッちやいましたので、お耳に直しにホッコリする66年の「ホリー・カウ」を本家リー・ドーシーとこれまたホッコリ感がさらに増した素晴らしいザ・バンドの75年のカバーでお聴きください。
-
ザ・バンドのはR&Rのカバー・アルバム『ムーンドッグ・マチネー』からなんですが、個人的にはこのアルバムがバンドのフェイバリットかも。同じ時期にジョン・レノンも同趣向のアルバムを出していますが、100倍はいいです。
午のはずがいつの間にか角が生えて牛(Holy Cow)になってしまいました、ってことで元の馬の歌に戻して最後はフリーの「ライド・オン・ポニー」で。
Free - Ride on a Pony
ポール・ロジャース、アンディ・フレイザー、ポール・コゾフ、サイモン・カーク。これだけの個性がひとつのバンド集まるというのはほとんど奇跡に思えます。
しかし、恋する女のもとに行くのに、なんでHorseじゃなくてPonyに乗ってくの?
PR: すべてを失った難民たち。明日への希望を届けたい。
こんなことがあっていいのか・・・ 悲しい
>大滝詠一さん急死 65歳 達郎、聖子プロデュース「幸せな結末」が大ヒット
スポニチアネックス 12月31日(火)11時41分配信
ミュージシャンの大滝詠一(おおたき・えいいち、本名=大瀧 榮一)さんが亡くなったことが31日、分かった。岩手県出身、65歳だった。
30日に午後5時すぎ、東京都瑞穂町の自宅で倒れ病院に運ばれたが帰らぬ人となった。病死とみられる。
岩手県江刺郡梁川(現奥州市)生まれ。1968年に早大に入学後、細野晴臣を紹介され、70年「はっぴいえんど」としてデビュー。自身のレコード・レーベル「ナイアガラ」を立ち上げたほか、山下達郎や大貫妙子が所属していたバンド「シュガー・ベイブ」のプロデュースなどを行った。
81年に、シングル「君は天然色」がヒット。同曲が収められたアルバム「A LONG VACATION」がヒット「第23回日本レコード大賞・ベストアルバム賞」を受賞。松田聖子のアルバムプロデュースなどでも話題になった。
97年には12年ぶりにシングル「幸せな結末」を発表し、フジテレビのドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌としてミリオンセラーを達成した。
R.I.P. E.OHTAKI かくも長きバカンス
大瀧詠一師匠が亡くなってしまいました。
訃報を聞いたのが年の瀬ということもあって何か実感が湧いてこないのですが。恐らくは時が経つにつれて心の穴というか喪失感がやってくるのだろうと思います。さしあたっては、次回でいよいよブリル・ビルディングそして最終的にはビートルズのデビューに辿り着くはずだった「アメリカンPOPS伝」が未完のままに終わってしまうというのが非常に残念でなりません。
ブログ「鳥肌音楽」として、まだ、まとまったことが書けそうにないので過去にアップした記事の中から大滝師匠の唱えた「分母分子論」「普動説」の音楽的実践の完成形ともいえる『A LONG VACATION』について書いたものがいくつかあるので追悼の意味を込めて再掲載させていただきます。
まずは2009/11/28にアップしたアルバム・タイトルについての考察「かくも長きバカンス」を。
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みなさんはこのアルバムをご存知でしょうか?
”何をアホなこと聞いとるん 『ロンバケ』に決ってるやろ”と言われそうですね。そうですねCDに付けられた帯のタイトルを見ると『ロング・バケイション』(ヴァケーションでもバケーションでもなくバケイション)で、CDの背表紙の英語表記では『A LONG VACATION』ということでこの二つが公式な日本語題と英語題になるのだと思います。
今回注目したいのはジャケットのでかでかと書かれた英語のタイトルについてです。ジャケに書かれた『A LONG VACATION』の文字は『ALONG V・A・C・A・T・I・O・N』といった感じになっています。まず「A LONG」の文字サイズが「VACATION」に比べ大きいものなっていますがまぁこれは2つを同じ幅にデザインするために大きくなっているくらいのことだと思います。
気になるのは「A LONG」という2つの単語の間がひとマス開いていなくて「ALONG」とひとつの単語のようになっていることです。これもデザインのために文字間をそろえて、その代わりAをAと赤い文字にすることでAが冠詞であることを表しているのかと思われます。ただそのデザインのおかげで、というか意図している気はしますが、「ALONG」は「A LONG」とも「ALONG」とも取れるようになっています。ということはタイトルは二通りの意味に取れるということになります。「A LONG VACATION」だと”長い休暇(夏季休暇)”とか”長いバカンス”といった意味になり「ALONG VACATION」だと”休暇の間中”とか”バカンスの間中”とかいった意味になるかと思います。
81年3月21日にこのアルバムが出た時に「A LONG VACATION」というタイトルを聞いて、永井博(漢字は違うけどながい=LONGですね)のイラストそのままのリゾートでのバカンスを思い浮かべたのと同時に大滝詠一自身の長い長いお休みを思い出しました。長いお休みというのは75年のナイアガラ・レーベル設立からわずか3年半ほどの間に11枚というシングルなみのペースでアルバムを制作してきた大瀧が前回ご紹介した『Let's Ondo Again』以降2年半に渡ってレコードを発表しなかったことをさします。ということで「A LONG VACATION」にはジャケのイメージそのままの公式の意味と大滝のシャレというか照れの気持ちがこめられていたと推測いたします。「ALONG VACATION」という風に読むと”ただブラブラしてとみんな思っているかも知れないけど実は休みの間中ずっと次のアルバムのこと考えてたんだよ”という意味が込められているようにも思えます。
<中休み> 『ロンバケ』の中でタイトル/ジャケットのイメージに最も近い「カナリヤ諸島にて」をどうぞ。
大滝詠一 / カナリア諸島にて
閑話休題。「A LONG」とも「ALONG」とも取れるようにしたのは意図的なのか?と思っていたら数ヵ月後(7月21日)に他ならぬ大滝自身の手によって謎解きのようなタイトルのアルバムが届けられます。それは『A LONG VACATION』から大滝のボーカルを抜いたカラオケ・アルバム『Sing ALONG VACATION』でした。
Sing Alongというのは”一緒に歌おう”みたいな意味なのでカラオケ・アルバムには相応しいタイトルではあります。ということでやはり「ALONG」は「A LONG」と「ALONG」と両方の意味をもたせた言葉だったことが分るかと思います。なんですがこのアルバムって最初から企画されていたものでしたっけ、それとも『ロンバケ』が売れたんで便乗で売っちゃえと出されたものだったかそのへんの記憶がありません。便乗といっても限定版で1ヶ月もしないうちに店頭から消えた(買おうか迷っているうちに無くなってしまいました)ので、大滝の頭の中にビーチボーイズの『スタック・オー・トラックス』みたいなのがあって一度カラオケは出してみたいと思っていたところに『ロンバケ』が大ヒット(寺尾聰についで81年の売上ランキング2位でした)したので、以前だったら企画が通らないカラオケ・アルバムの発売もOKが出たってところではないでしょうか。でも限定1万枚っていうのは『CMスペシャル』を除けば過去の大滝のどのアルバムの売上枚数よりはるかに多い枚数で、『ロンバケ』によっていかに大滝に対する評価が変わってしまったかが伺われます。
恋するカレン カラオケ
しかし本当にカラオケまでを見据えての『A LONG VACATION』というタイトルであったとすると凄い人だと思います、師匠とよばれるだけのことはあります。
長くなってきましたがこのタイトルにはもう一つ秘密(大げさですね)があると思います。それは「VACATION」の文字間に「V・A・C・A・T・I・O・N」と中黒がふられていることです。これはおそらく「バケイション」と読んでもいいけど「ヴィ・エイ・シー・エイ・ティ・アイ・オー・エヌ」と読んでねということではないかと思います。そうコニー・フランシスですね、いや弘田三枝子か。
Connie Francis / Vacation ____________ 弘田三枝子 / ヴァケーション
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ミコちゃんの方が上手く聴こえるのが凄いな。ところでミコちゃんの日本語詞では夏休みだけでなく冬休みも待ち遠しい(ついでにいえば春休み、秋休み(?)も)と歌われています。一応ジャケのイメージもあって夏のBGMとされる『ロンバケ』ですが最後は「さらばシベリア鉄道」という冬の曲で終わっています。CD化の際には「シベ鉄」を抜いた9曲のバージョンも作られたことがありますが、ひょっとすると夏だけでなく夏冬が一枚に入ったアルバムも作りたかったのではないでしょうか。例えばユーミンの『サーフ&スノウ』のような。『イーチ・タイム』の中の冬の曲「木の葉のスケッチ」「レイクサイド・ストーリー」、シングル「フィヨルドの少女」と冬を感じさせる北欧風のエレキ・インストをあわせて編集された『スノウ・タイム』を聴きながらふとそんなことを考えてしまいました。
大滝詠一 / レイクサイド・ストーリー
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このアルバムの後に84年に『EACH TIME』を発表後2枚のシングルはありましたが歌手としては「長いお休み」に入っていた大滝師匠ですが、ここ数年は「勉強家」としての成果をブログであったり先の「アメリカンPOPS伝」という形で発表してくれていたのですが、今度こそ永遠の「長いお休み」に入ってしまいました。
死因は解離性動脈瘤とのことですが、最初のニュースではリンゴを食べていて突然倒れたと報道されていて、思わず”おいおい、師匠よ、最後はビートルズ落ちですか”と苦笑いしてしまいました。ちょっと不謹慎かと思いましたが、ナイアガラーの皆様でしたらお許しくださいますよね。
いわゆる「あまロス」がみた紅白雑感
潮騒のメモリー
良かったですね、ユイちゃん東京にやってくることが出来て。完全に北三陸に呪縛されていると思っていたのですが。”来てよ タクシーつかまえて”という歌詞の通りアキの父のタクシーでNHKホールまで空を翔けて来るとはね。
そして天野春子も「天野春子」としてステージで歌い、鈴鹿ひろ美も自分の「声」で歌うという、まさに大団円を見せてくれました。クドカンはここまで考えて脚本書いてたのか、まさかね。
しかし、紅白の番宣で2日ほど前にNHKの番組に出演した綾瀬はるかが「ジョニーへの伝言」を「ジョニーへの遺言」と間違えてネットで話題になったのも、”ジョニーに伝えて 1000円返して-”という歌詞を踏まえての話題作りだったんじゃないかと思えてしまいます。
にしても綾瀬はるかの司会は期待通りの天然ぶりで久々に紅白を最初から最後まで見てしまいました。おそらく”けしからん”という批判の声も多く聞こえてくるような気もしますが、「花は咲く」の涙も自然なもので、良かったんじゃないのと思うのはファンの贔屓目でしょうか。
エアーバンドといえばカッコイイですが要はインチキ・バンドのゴールデン・ボンバーは冒頭に樽美酒がダンベルを持って東京オリンピックを狙うと何ともしらけることをいった後、歌唱中に鉄棒で大車輪を見せるというサプライズで”へぇやるやん”と思わせ、その実は替え玉が鉄棒をしていたというオチ。インチキ・バンドがインチキしてるという実に正しいオチでいたく感動いたしました。クレバーなやつらと見直しました。
替え玉=影武者、これもあまちゃんオチなのかも。
恋するフォーチュン・クッキー
個人的には今年最高の曲はこの「フォーチュン・クッキー」だと思います。どこかで聞いたことあるような甘く切ない懐かしいメロディーにポップス好きのオヤジのハートはイチコロでした。
会場に来ていたSKE、NMB、HKTも含めAKBファミリー総出で3階席の通路まで踊り子さんがいるという絵面は、僕にはストリップでのパチンコ・ショーに見えてしまったのですが・・・。秋元だったらやるな、きっと。
紅白のステージでの大島優子の卒業宣言や福山雅治の”2014年は初のドーム・ツアーやります”なんていう発言を聞きながら、とくに福山の発言なんかは自己宣伝以外の何ものでもないですよね。30年前には”伊代はまだ16だから”という歌詞は松本伊代の自己宣伝にあたるとして”わたしはまだ16だから”と歌わされたNHKとはすっかり変わってしまった気がします。
それにしても北島三郎の”紅白を卒業”発言は大島優子の後だけに笑えました。
再掲 壁のスライド写真の君 (ロンバケ再訪#2)
さて今回からはロンバケ各曲についての拙文です。まずは発売より30年以上経った今もCMなどどこかで耳にする決して色褪せない永遠のメロディー、永遠のサウンドを持った「君は天然色」です。
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the honeycombs / colour slide
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Have I the Right: the Very Best of the Honeycombs
先ずは上のハニカムズが歌う「カラー・スライド」を聴いていただきたいのですが、どこかで聞き覚えがないでしょうか?
♪お~もいでぇ~は モォ~ノクロ~ム♪
そうです大滝詠一の「君は天然色」と似ていると思わないでしょうか。ついでに言うとリズムも少し似ています。この「カラー・スライド」は「天然色」で大滝が引用した楽曲のうちの一曲とされています。ちなみにこういうのをすぐに「パクり」とか言う方がいらっしゃいますが了見が狭いというか音楽への愛情が足りないんじゃないかと個人的には思ったりもします。
ハニカムズのプロデューサーはジョー・ミーク。大滝のナイアガラ・サウンドというとすぐにフィル・スペクターの「音の壁 Wall Of Sound」との関連性ばかりが語られる傾向にあちますが、『ロンバケ』の中でスペクターっぽいのは「天然色」「カレン」「カナリア諸島」といった曲だけでラストの「さらばシベリア鉄道」なんかはもろにジョー・ミークだったりします。そしてモロにスペクターと思われる「天然色」ですらジョー・ミークの要素が入っていたりします。ナイアガラの瀑布は音壁一枚ではなく幾重にも重なっている、といったところかと思います。
サウンド面は置いといて注目いただきたいのは「カラー・スライド」という「写真」にまつわるタイトルです。「天然色」では机の上の昔の彼女のポラロイド写真を眺めながらセピア色になってしまった想い出にもう一度二人でいた頃のようなフルカラーの輝きを取り戻したいと歌われ、想い出の詰まった「写真」が重要なテーマとなっています。ではこの「カラー・スライド」はどんな内容の歌詞なのでしょうか。
部屋の壁に君
3mの大きさの君
カラー・スライドの君がいる
君と海岸であい
悲しげな姿にからかうこともできず
僕の腕の中にひきよせた
たった一日の愛の日
輝く太陽ときらめく海
君のキスが忘れられない
抱きしめあいドキドキした気持ちも
僕はふざけて
君の写真が撮りたいといった
でも 今はそんな幸せも消えてしまったみたい
落ち込んだ時
映写会をするんだ
腰をおろし スライド写真を眺める
部屋の壁に君
3mの大きさの君
カラー・スライドの君がいる
ベイビー 残念だよ
君の名前すら知らず
壁のスライド写真だけなんて
こちらも壁に映した愛する女性のスライド写真を眺めながら幸せな日々を思い出している、という歌詞で「天然色」との共通点が感じらないでしょうか。あくまで想像ではありますが、松本隆に詞を書いてもらう際に大瀧はこの「カラー・スライド」の歌詞を渡して”こんなイメージで”とお願いしていたのではないかと思います。そして、その元ネタを解き明かすための手がかりとしてハニカムズを引用した、そう考えると面白いかと思います。繰り返しますがこういう必然性があるものもなんでもかんでも「パクり」と騒ぐのはいかがなものかと。
「天然色」の引用元として「カラー・スライド」以外でもっとも有名なのはゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズの「涙のクラウン」ではないでしょうか。
Gary Lewis & the Playboys / Everybody Loves a Clown
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Everybody Loves a Clown
「天然色」の歌いだし”くぅ~ちびる つ~んと とがらせて”というところに引用されていますね。ゲイリー・ルイスの場合ザ・プレイボーイズというバックバンドがいることになっていますが、レコーディングではハル・ブレインやレオン・ラッセルというスペクターのバックング・トラックを作っていたレッキング・クルーの面々が覆面プレイヤーとして参加していましたからナイアガラ・サウンドの引用元としては王道と言えるかと思われます。
部分的な引用と言うのではなくサウンド全体のアイデアとしては大瀧と同じく強烈なスペクター・マニアであるロイ・ウッド(ウィザード)の70年代音壁サウンド(ステレオだ!)の最高傑作である「シー・マイ・ベイビー・ジャイヴ」からの影響を感じます。
Wizzard (Roy Wood) / See My Baby Jive
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Singles A's and B's
個人的な思い出を言わせていただくと、80年前後に東芝から出ていたブリティッシュ・ロックのオムニバスを買い収録されていた「シー・マイ・ベイビー・ジャイヴ」に頭がクラクラしノックアウトされてしまいました。それ以前にもスペクターのベストを2枚ほど持っていたのですが、この曲をきっかけにそのLPを聴き直してずぶずぶとその泥沼のような魅力に引きずり込まれ仕舞いには英国盤で出ていた8枚組みのBOXセット(トップ画にしてるやつです)まで買ってしまうことになりました。
そんなスペクターのマイ・ブームが巻き起こっている80年夏ごろにTVから聞えてきたのが日清の「出前一丁」のCMでした。
”この声は大滝詠一やんけ、短いけど音はまんまスペクター、相変わらず趣味的なことやってまんなぁ”とこのCMをそれまでのノベルティー好きの大滝の延長線上で捉えていたのですが、すでに『ロンバケ』の録音は開始されており実は『ロンバケ』でのナイアガラ・サウンドのプロトタイプ的な役割を果たしていたのですが、その時はそんなこと露ひとつ知りませんでした。
そして年が明け4月の入学シーズン、キャンパスでサークル(D大レコード音楽研究会)の新入部員獲得のためのオリエンテーションで大音量でレコードを流しながらチラシ配りをしている時にいきなり後頭部に突き刺さってきたのが「君は天然色」のあのイントロでした。
君は天然色 松本隆/大瀧詠一
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『A LONG VACATION 30th Anniversary Edition』/大滝詠一 3/21発売 SRCL8000~1 ¥2625
”うっ何コレ、ロイ・ウッド?にしては音がキレイ・・・えっこの声は大滝詠一かっ!!!”
で勧誘用の机の上に飾られたLPジャケを見ると何とも爽やかなポストカードのようなイラスト、恥ずかしながら発売から半月ほど経っていたのですが『ロンバケ』はノーマークでこの時初めて聴いたのでした。(このLPはdrac-ob先輩のブログによく登場するF田先輩が持ち込んだもので、サークル内ではせんみつと呼ばれ(失礼)留年3年のおっさん先輩がなんでこんなお洒落なジャケのアルバムをと思ったのですがポパイ片手にシティ・ボーイをきどっていましたからこの辺のトレンドにはうるさかったんだと思います。)
これはいかんとすぐにキャンパス内の生協に走りLPを買おうとしたのですが品切れでたまたま1本だけ残っていたカセットの『ロンバケ』を手に入れたのでした。カセットサイズなので永井博のあのジャケの感動は半減されてしまったのですがツレの車のカーステやウォークマンで屋外に持ち出せましたし、四畳半の部屋でもいちいちレコードをひっくり返す手間がいらず、何度も何度も繰り返し聴くことができたのは結果オーライという感じでした。そんな理由もあって曲単位というよりはアルバムとして強く心に刻まれている一枚です。
閑話休題、もっといろいろあるのでしょうけど、もう一曲だけ引用元をご紹介しておきます。といってもこれは自分が作った曲なのでリサイクルと呼んだ方がいいかもしれません。
クレイジー・パーティー/がんばれば愛 10分15秒あたりからです
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大瀧詠一 SONGBOOK2
アニメ映画「がんばれ!! タブチくん!! 第2弾 激闘ペナントレース」の主題歌の「がんばれば愛」なのですが作曲が大瀧詠一、歌っているクレイジー・パーティというのはスタレビでデビュー前の根本要です。曲の中の♪オーッ オーッ オーッ♪ってあたりが「天然色」の間奏としてリサイクルされています。80年5月の公開ですから『ロンバケ』の録音に入った直後にこのメロを思いついたということになります。
最後に松本隆の歌詞について。
頭の”くちびる ツンととがらせて 何かたくらむ表情は”という歌詞を聞いた時に思い出したのはジェームス・テイラーの77年のヒット「君の笑顔Your Smiling Face」の”君がその可愛くちっちゃいくちびるをとがらせると 僕はいつでもドキドキさ 何かを感じるんだ (僕の知らない・・・)”という歌詞でした。まぁ関係ないのでしょうけど。
机の端に飾られている写真は普通の写真ではなくポラロイドの写真です。ご存知のようにポラロイドは保存状態によっては褪色が早くセピア色に変質してしまいます。繰り返される”想い出は モノクローム 色を点けてくれ”というフレーズからは写真と同じように時を経て色落ちしてしまった想い出をもう一度元のような色つきの状態に戻したい(よりを戻したい)という気持ちがこめられています。撮ってすぐ見れるというのがポラロイドの優れていたところですが、携帯を含めデジカメが普及しつくした今ではポラロイド写真を見たことのない人が多いのではないでしょうか?そして机の上に飾るというのも今や写真たてではなくフォト・フレームなんかになってきています。デジタルのデータはいつまでも撮られた時のままで色落ちもしません。この歌詞のような状況自体が成立しづらい時代になってきているのも確かで30年前に僕たちがこの歌から得た感情と今の子供達が名作という名に惹かれて聴いた時に抱く感情には大きな違いがあるのかも知れません。
同様に”夜明けまで長電話して 受話器持つ手がしびれたね”という歌詞も昔の無骨な受話器ではなく軽い携帯だったらそんなにしびれないだろうし、長電話を見越して料金の安くなる深夜に電話するというのもソフトバンク同士は無料なんていう現在では理解しがたくなっているのかも。
つづく
62分間ナイアガラの旅 WELCOME TO THE NIAGARA WORLD
WELCOME TO THE NIAGARA WORLD
アップした音源は95年3月24日に『大瀧詠一』『NIAGARA CM SPECIAL』『NIAGARA MOON』『NIAGARA TRIANGLE Vol.1』が単体のアルバムとして再発された際にプロモ盤好きの大瀧師匠の手によってNON STOP MIXされた『WELCOME TO THE NIAGARA WORLD』です。
62分間のナイアガラ・ワールドのツアーをお楽しみください。
もちろん広大なナイアガラ・ワールドの一部分の紹介CDではありますが、その選曲、曲順には師匠ならではのこだわりが感じられると思います。2曲を連続して聴くと同じネタ元で作られているんじゃないかと思われる師匠お得意の小出しのネタばらしもあるようです。今後、本人からのネタばらしは無くなるわけで、僕たちは一層の精進をして隠されたナイアガラの謎の解明に励まねばならないでしょう。
永遠に解けない大きな宿題、それがある限り僕たちは師匠のことを忘れることはありません。
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どんなときも君は天然色
元旦の夜、TV欄を見ていたら見逃していた「亀田音楽専門学校」の再放送をまとめてやっていたので録画して観ることに。
11月14日分の再放送「ツンデレのシカケ術」という回ではサビに入る前の「キメ」について解説されていました。曲のリズムを一部分だけ変更し、その後に続く部分への期待感を煽るという効果で「キメ」は使われるといいます。
「キメ」の具体的な例として臨時講師として登場していた槇原敬之の大ヒット「どんなときも」が取り上げられていました。この歌の「キメ」にあたる部分はサビ前の1分19秒あたりに入る「タンタンタタン」っていうところで、自称「キメ」好きの槇原はイントロの部分でも我慢しきれず「キメ」を使っています。31秒あたりに入っていますね。
槇原敬之 — どんなときも。
亀田から”意識して「キメ」を入れているのか”と問われた槇原は”当時は半分アマチュアみたいなもので「キメ」という言葉も知らなかったのですが、ずっと耳馴染んでいたある曲の影響で無意識にいれてしまった”と答えます。
そのやりとりを聞いていて”あぁこれはひょっとしてあの曲じゃないの”と僕は思いました。
大滝詠一/君は天然色
イントロに出てきますよね。
槇原の口から語られた”影響を受けた曲”というのは、当たらずとも遠からずのこの曲でした。
出前一丁/Niagara CM Stars【NIAGARA CM SPECIAL】
たしかに22秒あたりに槇原が影響されたという「キメ」が出てきます。
「出前一丁」のCM曲のメロディー自体はなにわのモーツァルト=キダタローによるものですが、それを『ロンバケ』録音期の大瀧師匠が原曲の”あぁらよっ 出前一丁”というサウンド・ロゴ的な部分を残し前半部を補作曲・アレンジしています。CMで使われた「キメ」はもちろん”あぁらよっ 出前一丁”という耳慣れたメロディをTVの前の視聴者に印象づけるための仕掛けとして入れられていると思います。
言われてみると大瀧師匠の曲には「キメ」がある曲が多いような気がしますが、それは15秒で商品を印象づけねばならぬCM音楽を作り続けていたことにも関係あるのかもしれないですね。
さてこのCM巷に流れ始めたのは確か80年からで、槇原は小学校から中学にかけてこのCMをあびるように聞いていたものと思われ、その影響が無意識に出てくるのはわかる気がしますが、よく聞くと「どんなときも」ではバックにタンバリンの音が使われていたりとちょっと「ナイアガラ」っぽい感触もあり、槇原から大瀧師匠へのオマージュもあるのかも。
これまで槇原敬之と大瀧詠一のつながりなんて考えたこともありませんでしたが、意識的であったり無意識であったりしても音楽というのはそれ以前の音楽の影響を受けながらずっとバトンが渡されていくものだとあらためて思ってしまいました。いやー音楽って本当にいいもんですねー(by水野晴郎)。
A LONG VACATION 30th Edition/大滝詠一
NIAGARA CM SPECIAL/Niagara CM Stars
君は誰と幸せなあくびをしますか。/槇原敬之